映画『宝島』大友監督講演会

2025.10.16

10月10日(金)の放課後、映画『宝島』の監督、大友啓史氏をお招きして講演会を開催しました。

実は、9月27日(土)の午後には、東映の試写室において、海城生限定の「映画『宝島』無料招待上映会」を開催し、希望した約50名が鑑賞をしました。

本校では毎年高校2年生が修学旅行で沖縄を訪れ、戦跡などを巡り平和学習に取り組んでいます。

そうしたこともあって、沖縄の戦後、占領下の沖縄を題材とした『宝島』を海城生が鑑賞できる機会を設けたのです。

すると、大友監督からぜひ中高生に向けて沖縄のこと、映画『宝島』に込めた思いについてお話がしたい、そして中高生の感想を聞いてみたいとのオファーをいただき、今回の講演会は実現しました。

講演会は、生徒だけでなく保護者にも呼びかけたところ、30名を超える参加者が集まりました。

講演会後の感想を一部紹介します。

「アクションシーンが多いのはなぜですか」と言う質問は僕が書かせていただいたのですが、講演会の内容、先ほどの質問に対する大友監督からのご回答に私はすごく共感するとともに、私自身歴史を単面でしか学べていない、いまだに”テストのための勉強”をしているのだと気づかされました。
私は歴史が好きで長い間歴史資料に触れており歴史の点数も高かった。
確かに、そこで得た歴史の基本知識は歴史を多面的に見るためには必要な物だと思うのですが、大友監督がおっしゃっていた現地の人、経験された人との関わり、出会いを私は大事にできていなかった。
また、浅はかな見識だけで歴史と向き合い、現地の人と理解しようと思ったことが原因で相手をバカにするような言動になってしまうことが最もいけないと私は思っています。
だから私は今まで培ってきた基本知識を捨てるのではなく、使い方を「現地の人との理解のための知識」にしていきたいと思いました。
(中2生)

コザ暴動の史実は知っていましたが、映像で見せられると衝撃でしたし、戦後の沖縄の現実を突きつけられ、知らなかったことが何より衝撃でした。
太平洋戦争末期、唯一の地上戦の場となった沖縄、そして沖縄本土復帰、この間のことをこれまで見たり聞いたりしてこなかったことに映画で気づきました。
そして今回の講演の際も、大友監督が、日本が高度成長期にどんどん元気になって、東京オリンピック、大阪万博と盛り上がっていた時、同じ日本人でありながら、その当時の沖縄の人々がどのような思いで過ごしていたかと話されていましたが、大友監督がおっしゃったように、私たちは沖縄についてもっと知らなくてはいけないて思いました。
大きな犠牲を払ってきた、そして今も払っている沖縄の現状について、私達はまず知っていなくてはならないと思いました。
戦争が悪いことだとわかっているのに、世界のいたるところで戦争が止まない、という今、この「宝島」という映画は本当にたくさんの大事なメッセージをみんなに与える作品だと思います。
(保護者)

正解を直ぐに求めるこの時代に、絵画の様な想像力を必要とする映画を作り上映して下さりありがとうございました。
沖縄のニュースや歴史を見聞きする度に、毎回申し訳なさと言いますかもどかしい気持ちを持ったままここまで過ごして参りましたが、映画「宝島」を観た事で私の心の添わせ方が少しフィットした形となり手を差し伸ばせた様な感覚になりました。
目を背けて来た時代の人間として今出来る事は、想うこと寄り添うことだけですが、映画を通じて変化があった事をお伝えしたく思います。
これからの世代の方々のためにもなる映画「宝島」を残して下さり本当にありがとうございました。
(保護者)